師走去り際振り返り
今年は激動だった。と思う。
大学卒業、フリーター生活、就職、引っ越し、退職。大きな変化が苦手な私にとって大きな変化が一気に訪れ、案の定打ちのめされてしまった。
特に就職。決断したのも自分、引っ越しを決めたのも自分でありながら、どこか自分ではない誰かの人生を肩代わりして生きているような感覚がいまだにある。あんなに憎んでいた京都にいつしか愛情なのか執着なのかわからない感情が生まれ、京都へ戻りたいと懇願する日々。お金も少ないのに意気揚々と京阪電車へ乗り込み京都という「いつもの日常」を取り返しに行き、帰りはまた誰かの人生を代わりに生きているのではないだろうかと思いながら大阪へ戻る。ずっとずっと、ここ5か月間、長い悪い夢をみている感覚。はやく目覚めたい。
京都へ戻ったらこれをしたいという明確な理由はなく、転職エージェントの人に電話口で困惑された。何をしたいんですか？どうしたいんですか？というエージェントの女性から発される質問攻めに、就職活動の際に耳にタコができるほど聞いた自己分析というものを怠ったがためかは知らないが、非常にうんざりしながら「とにかく京都に戻りたいんです」と壊れたCDのように繰り返し口にした。
まさか自分の親ほどの人間に「あなたとやっていくのはもう無理」なんて突然言われるとも思わず、怯んでしまった。あと一か月我慢できれば手当も出たけど、プツッと私の中で何かの糸が切れてしまった。これからもこうやって誰かに否定されるんだろうか、と怖くなった。それでもこの人は平気で前に引き継ぎしたはずの内容を、あっけらかんとした様子で電話をかけてきて、「ちょっとわからないので教えてくださーい」と訊いてきた。
サークルを辞めたときに「君みたいな人間、どこの企業もほしがらんよ」と言われたことをよく思い出す。彼の言う通りで、すでに転職の面接を2回受けてどちらとも落ちた。せっかく就職できた会社も、たった数か月で辞めてしまった。自分は何がしたいのかなど、正直全く見当もつかない。幼稚園の頃の夢は表向きは「看護師になること」「デザイナーになること」。でもどちらもそんなに自分はやりたくなかった。私は好きな人と結婚して、父と母のように仲のいい夫婦になって、子どもを生んで、生きていたい。
吉田キャンパス近くのアパートに、終電を逃したばかりに一泊させてもらった。一人で古い、どこかの部屋からハーモニカが聴こえてくるなか眠りにつき、朝起きればどこかの部屋から耳コピが完成していないのか、音を外しつつも馴染みのあるピアノのメロディが聴こえた。外に出れば静かで、三条まで歩いて下がり、天気もよくて、鴨川も見えて、緑もあって、こんなにいい朝はないとあの時心から思った。こうやって一生過ごしたい。できれば、恋人も隣に一緒ならなおよし。
人をいっぱい傷つけて生きてきた私に、幸せになる資格などないのだという気持ちが、さまざまな場面の自分を制御して、幸せに近づくことを阻止し、どんどん卑屈になっていく。もともと醜い顔がさらに醜くなっていく。どこか自分の人生に対して自暴自棄な気持ちが、自分自身を現実世界から遠く離れた傍観者にしていく。
どうか許されたい。誰に許されるかなんてわからないけど、許されたい、友人に、両親に、恋人に、周りの人たちに、全員にきっと許されたい。自分に許されたい。いろんな人に対して、どうか離れないでと願ってしまう、自分自身すら、自分から離れている。
いつも通りに戻りたい、思えば東日本大震災が起きたころからずっと、自分はどこにいるのかがわからない。いつも通りに戻りたい。とりあえず、京都に戻るところから、いつものカフェに心置きなく行くところから、恋人と毎週会って安心するところから、友達と定期的に会って遊ぶところから。頑張ろう。
セクハラがわからない。
他人が受けた「セクハラ体験」の話を聴くと、ふつふつと怒りがこみ上げ、セクハラ行為や発言をした人間を、その人の代わりにぶん殴りたいと思う。あからさまなセクハラ行為だったら理解して怒ることもできる。しかし、自分が受けた「セクハラ体験」には至極鈍感であるのではないかと、己に疑念を持ち始めた。
事の発端は、職場で年老いた男性に観光案内をしていたところ、右手薬指にはめている指輪をカリカリ、と触られたことだった。
その人はペンで私の指輪をいじってきて、私は一瞬、「指輪をしていることを生意気と思われたのだろうか」くらいにしか思っておらず、愛想笑いをして「はは、すみません。」と呟いた。相手もへへへ、と笑うくらいだった。
そのあと、一緒に働いている先輩にこの出来事を話したところ、先輩の中で「こだわりが強そうなおじいちゃんの話」から「いやなジジイの話」に変わった。
「その話はね、わたしは許せないよ」と真剣な顔で私に言った。
あまり大事にしたいという気持ちもなく、また自分の中に「いやなことをされた」という認識も正直なかった。でも、先輩たちは私の年齢や、性別が女であることを加味して、非常に心配してくださった。それが逆に申し訳なかった。私はそこまでたいへんなことだと認識できていなかったからだ。
そういえば、一時働いていた飲食店でも、常連の男性客によく握手を求められたりハグされたりしていた。これは私も多少の嫌悪感を抱く時がさすがにあったが、店主がアメリカ人で、店内のノリが欧米風だったことが影響しているのかな、と思って拒めずにいた。「あいさつなんだな。この人もアメリカのノリで振舞っているんだろうな」くらいに考えていた。
思い返せば、自分はなんとも思っていなくても「それはセクハラ」と言われることはたしかにあった。
男性の上司に「口紅の色をもっと明るくした方がいい」と言われたり、「淑女らしい言葉遣いをしろ」と叱咤されたりしたこともある。でも私は「うぜえなこいつ。」くらいにしか思っていなくて、世を騒がせるフェミニストだの、ジェンダー過激派だの、そういったことにビンカンな人々の足元にも及ばないくらい、自分が受けている行動や言動に対して関心がなかった。
もしこれが自分の友人が受けた話だったら、おそらく怒りを感じただろう。気味悪さを覚えただろう。それなのに、「自分が受けたこと」となると、なぜにもこんなになんとも思えないのか。自分のことをそれほど大事に思えていないからだろうか。それならば友人が同じことを受けて覚える怒りは嘘なのかもしれない。と思いながらも、でも友達が嫌な思いしていたらそれはセクハラ行為をしかけてきた相手に腹は立つ。
「自分がセクハラだと思わなければセクハラではない」という考えも世にはある。まあそうかもしれないが、自分はよくても、調子に乗って同じ行為を誰かが受けたとき、その人が私と同じように「何も感じない」とは限らない。だから、今後誰かが同じことを受けても嫌な思いをしないように、指輪をカリカリと触られたことは上長に報告した。上長には「気づけなくて申し訳ない」と言われ、またもや申し訳ない気持ちになった。私はなんとも思えていなかったから。
セクハラがいいことだと思わないし、あからさまなことは私もさすがに理解できる。（たとえば急に抱き着いてくるとかキスされるとか身体に腕を回されるとか、そういうのはたしかに気持ち悪い。）しかし指輪をカリカリといじられたこと、アメリカのノリ（というと語弊があるかもしれないが）で握手やハグを要求されること、口紅は明るいほうがいいとか、もっとレディな言葉を遣いなさいとか、私は全然気づけなかった。否、「ちょっと嫌だな」とは思っても、たいしたことはないと捉えていた。
こういうことに敏感に反応できる方が、身を守れるのだろう。自分は自分の身を、大げさに表現すればそういった性的搾取から守れるのだろうか。少し不安になった。
単細胞生物
まだ風邪をひいています。長すぎますね、免疫力というものは本当に大事です。多形紅斑も気持ち悪いしかゆいしで、心が折れています。
先日、劇団四季のウエストサイド物語の劇を観てきました。海外ドラマのgleeや、古い映画の再放送などで物語の展開は知っていたのですが、ラストは意外だったな、という印象でした。アニタがかっこよくて、特にアメリカのパフォーマンスは圧巻でした。とても感動しました、もう一回観にいきたいものです。
そして昨日は社会で保障されている、わたしのなけなしの権力を行使してきました。面倒だからといって選挙に行かない人はたくさんいますし、わたしの身近なところでも何人かいたものですから、そんなに面倒なことなのかと思っていたのですが、実際にはあっさりと終わって、拍子抜けしてしまいました。これでいいの？という具合です。たしかにこんな簡単なことでわたしたちの暮らしが左右されるなら、口酸っぱく「選挙に行け」と言われるのもなんだか納得してしまいます。権利があるのに放棄したあげく、文句を言うのはちょっと違うなと、思います。
思っているほど人間というのは自分のことを気にしていない、というのが実感できる日々が続いて、自分がこの世に存在していてもさほど他人は気にしないんだと思えるようになりました。干渉しすぎず、お互い快苦もありながら平穏に暮らせればなあなんて、能天気なことを考えています。最近イライラしていることが多すぎたようで、むしろ今日は「おだやかだね」なんて言われて、ちょっと恥ずかしかったです。自分に余裕が全くないことが他人に悟られるほど、態度や顔に出ていたのかと思うと申し訳ない・・・
これからはやりたいことを積極的にやっていこうと思います。その前に体力と免疫力を身につけたいと思います。
しつれいします。
副流煙とうつ
長らく更新しておらず、自分自身でこのブログの存在を忘れるという鬼の所業をなしていました。季節は夏となり、とても暑いですね。建物の中と外との温度差がひどくて、わたしはまた風邪をひいてしまいました。なかなかこれが厄介なんですね。早く治りますように。
他人の副産物によって多少なりとも影響を受けるというのはよくある事象ですね。煙草の副流煙、憂鬱な発言に引きずられる思考、その逆もまたしかり。負の連鎖だとか言いますけれど、よく言ったものだと思います。
さて、わたしはよくメンヘラホイホイと呼ばれる節があるわけですが、自分でもよく原因はわかっていません。類は友を呼ぶ方式で、きっとわたしがメンヘラのきらいがあるからなのか、はたまたもっと違う次元の原因があるのかはわかりません。ネガティブな思考とか発言って思わずしてしまう気持ちがわからないこともないですが、人に多少なりとも悪影響を及ぼす可能性があります。自分がいまから発する言葉が、相手にどんな影響を与えるのか、すこし考えてから発言したいものですね。
最近、急に多くの人と関わるようになって忙しくなり、とんといろんなことを忘れていることがあり、人にたくさんの迷惑をかけること多々あり、非常に申し訳ない日々を過ごしています。会話をしていてもぼーっとしてしまったり、講義中に寝てしまったりと、そろそろテストもあるというのになかなか自覚が持てなくて、暇すぎてもダメだけど忙しすぎてもダメだなあなんて当たり前のことを考えています。どうでもいいですね。
部屋にあるすべてのものを真っ白にしたいなんて思います。でも寝具まで真っ白にしたらちょっと病院みたいなので心を病みそうですね。うそですけど。そのうち真っ白にします。
春休みにはあんなに記事を毎日書いていたのに、いまは全く書きたい話題もありません。暇だったからなのか、いまが忙しいからなのか、それともただわたしの頭が足りていないだけなのか、よくわからないですね。
しつれいします
感情の変動とは
連日の九州で起こった地震の関連ニュースを見るたび、心が傷みます。
あまり地震が来ない九州地方です。14日以降からはショックと悲しみが連続するばかりでなく、個人的には東日本大震災のことも思い出し、二重に心苦しいです。稚拙なことばしかでてきません。もう地震なんていやだ、みんな元気に生きていて、もう誰もが悲しい思いをするようなことは起こらないでほしいと。ほんとうに、そう思います。
わたしの住んでいるところはなにもありませんでした。すごくやるせない気持ちだけが残っています。せめてできることは地震があった地域にいるみなさんの無事を祈ること、経済を回すことくらいです。そしてなにより、なるべくいつも通りに過ごすことかなと個人的に思うのです。3.11の地震のときのことを思い出すと、そうするのがわたしのなかでは一番いいと、そう思うのです。
さて、先日わたしは映画を観てまいりました。誘ってくれてありがとうございました・・・ほんとうに・・・
リップヴァンウィンクルの花嫁という映画です。人間とは汚く、しかし美しいのだと感じました。もう一度観たいです。
年度が変わり、人見知りの激しいわたしだのに、さまざまな人と関わるようになっていて自分で驚いています。しかし人とお話をするのはとても楽しいので、積極的に「人たらし」になりたいものだと思います。
この世で呼ばれる「正しい」「悪い」という概念は、生物として生きる上では無いに等しいものだと思うのです。人間として生まれ、考えて言葉を話すという能力を持つ人間だからこそ、そういう概念が生じ始めたのですね。もしわたしたちに言葉などなく、考える力もなく、ただただ本能のままに生きていたら、すべての行動は生きるためなのだとすれば、それに善し悪しは存在しないのではないのでしょうか。
「それはどうかと思う」「倫理的におかしい」「最悪だよそれ」そういうことを、考えるでしょう。わたしも考えます。人間の間だけに生じる概念で、この世のすべてをどうにかしようとする人間というのは、図々しく、しかし地球上に誕生する生命、なるべくしてなったこと、ということなのですね。わたしたち人間は自分と、自分以外の他人の互いに生じる（一方的な場合もあるけど）感情のなかで一喜一憂しているのですね。仮にこのメタ思考が本当に人間のみに起こるのなら、せいぜいこれを楽しんで、人間である自分を謳歌するにすぎないのかしらん。もう自分が何書いているのかよくわからなくなってきました。
だれでも平等に時間は訪れます。
おそまつさまでした。
