2021-01-01から1年間の記事一覧

私は京都や福岡の話はたしかによくするが、インパクトが強いからであることは明白で、15年間宮城県で生まれ育った。母方の祖母の家は気仙沼にあって、宮城に住んでいた頃は毎年夏休みと年末には祖母の家に行っていた。とはいえ祖母はいとこの家に住んでいた…

神的おばあちゃん

友人たちと別々の暖簾をくぐり、私はひとり銭湯の女湯脱衣所へ足を踏み入れた。早朝およそ6:30前頃。それでも扉の向こうの風呂場を見やれば、地元の人々と見られるおばあ様方が3人ほど湯舟に浸かっていた。 脱衣所の茣蓙が敷かれた大きなボックス型になって…

走馬灯短文

仕事帰りに電車へ乗って目を瞑ると、ちょうど窓からの西日がチカチカと入り込み、まぶたの裏側の暗闇に閃光が走る。走馬灯の時はこんな風に線香花火があたりを舞うのかしら、とロマンチズムに浸る。走馬灯と聴くと幼い頃からメリーゴーランドがなぜか頭をよ…

感情

とある人間に右脳と左脳の話をされた。 曰く私は「右脳で感じている情動を幼少期に周囲から抑えられてきたので事実を淡々と左脳からアウトプットするだけのことが多い。感情はあるけど言葉にするのは苦手。」とのこと。 「そんな貴方にはこういうトレーニン…

セルフライナーノーツ

友人がnoteで短歌の解説をしてて、それが良かったので私もやろうと思う。自己満足の延長。 時折Twitter(@usagizushi0863) で披露する恥にすらならないちっぽけな31文字強(弱)ではあるが、やはりいいねが来ると嬉しい。とはいえかなり身内ネタな時もあるわけ…

記憶のなかでは雨

行きたい場所がある、小倉の図書館と魚町、望玄坂、リバーウォーク、台原の中学校沿いの大通り、定禅寺 記憶のなかの北九州と台原はいつも雨である。晴れの日は必ずあったのに晴れだった記憶が薄い。気持ちが塞ぎがちな年頃だったせいだろうか。そういえば気…

夜道と彼女

夜道、あまり街頭がない大きな道沿いをとぼとぼ歩くと、軽く酒で鈍らせた脳の片隅の記憶が引っ張り出される。 大学一回生、私には少ない友人のひとりに頭のいい女がいた。同じ齢であるはずなのに幼少から周囲の「大人」の対応に今でも怒りで震えるような体験…

京都と私

京都に戻りたい。今年絶対に実現したい野望である。 「京都に来てからいいこと一つもないんだよね。」大学進学と共に地方から京都へ来た私と同じ状況の友人は、一回生のときこんな話をした。友人は晴れて就職に伴い上京し、他の友人たちもほとんど東京か地元…